スウェーデンのステンマを巡る旅2023

先日スウェーデンより帰国しました!
日本は暑いですねー 
今年のスウェーデンの夏は7月頃から雨が多く、8月に入るともう寒いくらい。Tシャツの人も見かけますが、ダウンジャケットを着ている人も沢山いて日本の晩秋くらいの感じでした。

さて、今年は6月中旬よりミッドソンマル(夏至祭)とステンマを巡る旅になりました。
ステンマとはフォーク・ミュージシャン(スペルマン)の為のミーティングのことで、北欧諸国の中でもスウェーデンだけにしか無いイベントです。
一見フォーク・フェスティバルのようなイベントですが、フォーク・フェスティバルはステージを観るのが主な目的で、一方ステンマは色んな地方のミュージシャン同士の交流が目的なので、ステージはあくまでもサブメニュー。
みんなで弾いたりダンスをするのを楽しみに各地から集まってきます。

Österbybruk

6月17日-18日のウップランド地方Österbybrukのニッケルハルパ ステンマから旅はスタート。
友人、知人と1年ぶりに再会しブスクスペル(いわゆるセッション)で弾きまくって来ました!
このÖsterbybrukステンマはウップランドという場所柄、ニッケルハルパ弾きが沢山集まってきます。というか殆どニッケルハルパ奏者ですね。
写真のように木陰などに気ままに集まり、輪になってセッションするのが”ブスクスペル”
知っている曲があったら誰でも自由に参加出来る、スウェーデンならではの夏の風景です。


2日目は恒例のパレードからアルスペル(合奏)へ。

ステージも色々ありましたが、ずっと地元の人達とセッションしていたのでほとんど見れませんでした。
他にもニッケルハルパの品評会もあったりして、ニッケルハルパに興味がある方にはお勧めのステンマです。

Orsa

しばらくウップランドの友人宅に滞在した後、ボーレンゲの友人を訪ね、フィドルを借りて一緒にダーラナ地方ウーシャのミッドソンマル(夏至祭)に参加。
ウーシャはダーラナ地方の中でもとりわけ古い文化、言語が残っている歴史の古い町で、伝統音楽もとても奥深いのです。
地元の人と一緒に夏至祭をお祝いしたり、なんと驚きの出来事もあったりで充実のミッドソンマルでした。

ウーシャのミッドソンマルはパレードから始まりました!


夜は友人夫婦と夏至祭で知り合った地元ミュージシャンがキャンプ場に集まり、スナップスという蒸留酒で夏至をお祝いしながら、夜な夜なウーシャ曲をセッション三昧!至福の時です。
このスナップスはウーシャの有名フィドラー、Kalle Moraeusによって調合されたもので、ラベルにさりげなく本人がフィドルを弾いてるイラストと、楽譜がデザインされてますね。
ウーシャのミッドソンマルにベストマッチ!

ウーシャの夏至祭は3日間で、4つの村を巡りました。
パレードがあったり、コンサートがあったり、ダンスのショーがあったりそれぞれ特徴があって、どれも興味深い。
写真はポールが立った後にみんなでお祝いして踊っている模様。スモーゴーディナー他、定番のミッドソンマル・ソングを歌いながらファミリーで楽しみます。

Ånge

その後レンタカーでイェムトランド地方で開催されるサマーコースへ。
6時間かけて北上する学校への通り道だったので、オンゲにある笛奏者Göran Månssonの家を訪問し、1クローナ(14円)で買ったという学校を見学しました。(下の写真)
オンゲに到着するとちょうど日本のテレビ番組の取材中で、なんと僕の知人の記者がヤスコさん(ヨーランの奥さん)にインタビューし、将来は地元の人が気軽に使えるコミュニティーにしたいと夢を語ってました。
このページを見てくれてる方は、おそらく日本のテレビでご覧になられた方も多いと思います。

Birka

その日のうちにイェムトランド地方にある学校ビルカを目指します。ラップニルスで有名なイェムトランドは、今回が初めての訪問になり、とても楽しみ!
夕方到着すると既にみんな集まってセッションが始まっています。

ビルカでは4日間、イェムトランド地方の伝統音楽を学びます。講師は地元の有名フィドラー、Hoven DrovenのKjell-Erik Eriksson!

お天気が良いので、屋外でレッスン開始!
楽譜はもちろん使いませんが、なんと楽器も使わずに教え始めました。
最初は中々難しいですが、慣れてくるとこっちの方が体に音楽が入ってくる感じがし、定着度も高いように思いました。教え方が斬新でかつとても楽しい授業でした。
とても興味深かったので、日本のワークショップで試してみようと思います。

Leksand

コース終了後約6時間かけて南下し、ダーラナ地方レクサンドのコースに参加。
お目当の講師はスウェーデンフォーク界のボスMagnus BäckströmとMia Marine!
実は事前に申し込みしてあったウーレのステンマが急遽中止になったと連絡があり落胆していた所、このコースを見つけてすぐに申し込みしました。
2人からは2日間に渡りそれぞれ地元のウーレ、ヴェルムランドに伝わる伝統曲を習いました。
特に小さな村ウーレの情報は殆ど無いので、Magnus から色々と学べて良かったです。
Miaは教え方が上手で、やっぱりグルーヴが超カッコ良い。

Nås

1日目のコースが終わったらtobaksspinnarステンマの前夜祭、パブセッションに参加するために、南ダーラナの小さな村ノースへ直行。
到着したら地元の凄腕フィドラーに加えて、Mats Edén、Anders Norudde、Jonas Åkerlund、Johan Hedinなど豪華な顔ぶれが集い熱いセッションが始まってました。

一年ぶりの友人たちとも再会、蚊と戦いながら(笑)一緒にジャムを楽しんだ後、日が変わらないうちに翌日のコースの為一旦レクサンドへ戻りました。

*写真中央奥の教会で翌日に素晴らしいコンサートがありました。


コース終了後またノースに戻り、伝説のフィドラーAnders RosénとMats Edénのコンサートを堪能!
2人の演奏家が奏でるローカル感は本当に素晴らしい。

本来、村ごとに独自の文化があったスウェーデンのフォークミュージックも、近代になるとヨーロッパから流行の音楽が入ってきて、微分音や複雑な装飾音、独自のリズムが省略され、徐々に標準化されていきます。
標準化された音楽はわかりやすくなる反面、みんな同じ感じになってしまうので、この2人の味わい深さは国宝級だと思う。


キッチンを覗くとJonas Åkerlund達がセッション中!一緒に合流し夜通しセッション三昧して過ごしました。
翌日は地元の凄腕フィドラー、Mattias Heljeとスコーネ地方出身のEster Thunander のコースを受けました。
特にMattiasは西ダーラナ特有のグルーブが凄くってとても参考になりました。

tobaksspinnarステンマは規模は小さいですが、内容が濃厚で昨年に引き続き、呼び寄せされるように今年も来てしまった、一番お気に入りのステンマ!


写真は日曜日の夕方から開催されるNåsステンマの模様。こちらは同じ場所で主催者が別のステンマ。少々ややこしいですね。。

Bingsjö

次の目的地は7月初旬の聖地Bingsjöのステンマ!
今回で3回目の参加になり、ステイ先ではだんだん知り合いばっかりになってきてホーム感たっぷりでした。地元のスペルマンスラグと一緒にステージでダンスの為の演奏をしたり、毎晩明け方までセッションしたり、いつも充実のBingsjö!

ダーラナ地方、地元のスペルマンスラグに混ざって、ダンスの伴奏をしてきました!

キッチンでは連日深夜までセッションが続きます。
5年前に初めて参加した時は知らない曲が多く聴いているだけの事が多かったけど、今回は9割参戦!
どうしてそんなに曲を知ってるのって、皆んなから質問されまくり(笑)

コンサートはLena Willemarkのソロが圧巻。
松阪でも2回コンサートを主催したFrifotの演奏ももちろん素晴らしいけど、ソロでは地元エルブダーレンの民族衣装を纏い、演奏もエルブダーレン色が前面に!
エルブダーレンはスウェーデンでも古い文化を持ち、音楽にも古い伝統が残っていて、歌やフィドルの演奏の中に微分音が沢山登場し、さらにポルスカ(スウェーデンの3拍子のダンスのリズム)のグルーヴも独特で、とにかく超クール!
今回彼女のソロを初めて聴いて、Frifotのカッコ良さの多くはLenaの持ち味だった事を改めて認識しました。
僕の大好物、モダールなオールド・スウェディッシュをたっぷり堪能。

写真は同郷のVerf Lena Egardtと共演の模様。

長くなってきたので、前編はここまで
後編へと続く

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